英国王のスピーチ




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コリン・ファースがアカデミー主演男優賞をとるだろう、という噂を聞き

「じゃあ、授賞式の後に見ようとした時に劇場が混雑したら嫌だな」

と、今の内に鑑賞

客層は年配の方が多め、大体カップルや夫婦だった



・タバコ=逃避の象徴

肖像画=イギリスの歴史、ジョージ6世にプレッシャーをかける

・赤いランプ=スピーチの時における不安 …等々

小難しくなく効果的な演出や台詞の妙により非常に面白く見られた

劇場でも結構笑いが絶えない感じでしたね



僕はすねに傷持つ人を主役に据えた映画が大好物なので

この映画見てる間は号泣こそしませんでしたが、涙がジワリ


中学生の頃、クラスに大人数の前で喋ろうとするとどもってしまう子がいましてね

それを克服するために積極的に彼は前に出て喋る機会があるとそこに参加していたんですが

彼もこのジョージ6世と同じような姿勢で自分と戦っていたのかなあ、と

重ねてしまって、そこでもまた涙


予告編を見て

「いや…感動的に描こうとしてるけど…開戦スピーチでしょ?いいの?」

などと無粋な事を考えていたのですが杞憂でした

ヒトラーの演説を見たジョージ6世の一言がそこらへんに対して象徴的

何て言ってるのかは分からないが…ウマい演説だ」

つまりは、これから起こるのは第二次世界大戦だっていうのは

あえて、さほど踏み込まずに描いているって事なのかな、と


最後のスピーチでいう「戦争」というのも

現実のイギリスとナチスドイツとの「戦争」ではなく

各個人が自分自身や人生の酷薄さとの戦いである「戦争」である、という風にも聴こえるから

ラストが感動的になるのではないだろうか

演説をしてる側の描写も面白いしね



今までの挫折や抑圧続きの人生を乗り越えるが、その存在を否定するような事はせず

やはり、その人の歴史の一部としてあるものなのだ、っていうバランスも

結構僕好みでグッ!って感じです


嫌なヤツとして出てくるジョージ6世の兄も

「王の責務から逃げたサイッテーのゴミ野郎!」っていうより

「まあ、最善とは言えないがそれも一つの選択だよね」という風な描き方に僕は見えたので

そこも好きなあたり


強いて不満を挙げるとしたら

・録音したレコードを聞かなくても自分が喋れている事は分かるような…

戴冠式は劇中のシーンとして観たかったなあ…でも、やったら絵的にそこがクライマックスになっちゃうか

・見落としたのかもしれないけど「wの発音を間違える」っていう所、伏線として存在してたっけ?

まあ、でも、ここらへんは、いちゃもんor俺が悪い、って所ですかね


チケット代1800円の元は余裕でとれる映画

コリン・ファースやジェフリーラッシュの演技も素晴らしい

見る価値はまずあると思う ★4つ。