宇宙ショーへようこそ




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劇場公開された時は「観に行こうかなあ」と思いましたが

これは観に行かなくて正解

怒りに震える感じでもなく、ひたすらどうでもいいという感じ…

文句が結構あった「サマーウォーズ」が相対的に傑作に見えてくる程にヒドい



テーマ的な部分

「自分の事は自分でやる」「みんなはひとりのために」

これらのテーマ自体がつまらない説教だなあとか

それ、「オール・フォー・ワン」の誤訳だろ…とか

そんな事は些末な事で

結構致命的だなあと思うのは

主人公達がテーマに沿った行動(=自立して成長の助けになりそうな行動)をとる際に

その大変さ、困難さが切迫感を持って描かれない事


例えば、主人公達が月から宇宙へ帰れない事が分かって

交通費を稼ぐためにアルバイトをする展開があるんだけど

小学生が見知らぬ土地で働かされる展開なのに

悲愴感やら不安感やらが全くこっちに伝わってこない

「いやいや、そこは子供向けだから」っていう見方があるかもしれませんが

子供じゃない僕には単なるオママゴトにしか見えないのです


脚本も酷いなと思う、特に冒頭

まずまず、「子供たちだけで一週間寝泊り」っていうのも

「はぃぃいいぃ!?」って感じだし

更に、主人公達が出会うおそらく実写にしたら高確率でモンスターに見えるであろう人面犬

一度驚いただけでその後あっさり受け入れるんです

是枝監督の「空気人形」の時もちょっと思ったんですけど

我々の住む世界に異物が紛れ込んだ時のリアリティの擦り合わせについてもっと練り込むべき


その後突然主人公達は宇宙へ飛ばされるんですけど

その後不安や恐怖描写は一切なしで宇宙をエンジョイしまくり

あの一番小さい子ならともかく

小学生いきなり大気圏外に飛ばされたら好奇心より恐怖とかの方が先に立ちませんかね?

「子供は自分が思っている程大人ではないが、大人が思っている程子供でもない」

って言葉がこの映画にぴったりくるなあと思いました


音楽もグッと来る使い方はされてない

いや、他の描写が下手だから相対的に音楽だけが浮き上がってしまうのかもしれない

ここらへんの、全てがどうでもよく上滑りしていく感じは去年見た山崎貴監督の「ヤマト」に似てる

舛成監督の作品、「かみちゅ」とかは見たことないんですけど

傑作と誉高いアニメを観る気を失せさせるには充分な出来でしたね


例えば小栗旬監督の「シュアリーサムデイ」みたいに

「ハァ!?そこおかしくね!?」と突っ込んで楽しむとか

山本寛監督の「私の優しくない先輩」みたいに

「な…なんて姑息な映画なんだ!」と怒りに震えるとか

そういった感情の針がマイナスにも触れない

映画っぽい形だけがそこにあるような

ひたすら生気を抜かれる作品でした

文句なしで満足度★一つ