ガキ帝国

ガキ帝国 [DVD]

ガキ帝国 [DVD]

こちらの再生環境のせいか台詞がほとんど聞き取れなかった。
でも、一応ちゃんと話は分かったよ。

「ヒーローショー」の後半と同じく散漫な、ちょっとフラフラしているような印象を(ちょっとヌルたいケンカ描写も相まって)この作品の前半には受けた。
いや、しかし「ヒーローショー」の後半がああでなければならなかったように、映画が全て終わってみると「ガキ帝国」の前半も必要な下地作りでそれが嫌〜な生々しさを作品にもたらしていたように思う。
前半、ショボく感じられた暴力も後半との対比で活きてくるんだね…


普通の映画なら気を使うようなテンポと引き換えに言葉にできない(おそらく強度の同時代性を持った)生生しさを「ガキ帝国」「ヒーローショー」は手に入れられている。
現実は何か薄い膜みたいなもので覆われていて、それをちょいと剥がしたら「ガキ帝国」や「ヒーローショー」みたいになるんじゃないか、っていう生々しさ。
(「ヒーローショー」は世代どストライクなせいか本当に死にたくなったもんなあ…)


ただ、「ヒーローショー」とは異なり最後には希望も感じられる。
何に飲み込まれそうになっているか、ハッキリしている分それに対する構えが取れるという事なのか、単に当時の若者の気質が違うってだけの話なのか…それは分からないがラストの「ビール一本!」にはグッと来た。
例え大きなモノに巻かれ、流されようが自分の足はきっちり床につけておきたい、そんな意志と心意気が感じられた。

「ヒーローショー」は本当に気持ちが沈むから劇場での一回しか観ていない。
いや、同時代に生きる若者の一人として、あの映画には稽古をつけて貰う必要があるのも分かるけどどうにも手が伸びなくて…。
同様に「ガキ帝国」もまた観直す必要を感じる作品なんだよなあ…。
できればもうちょっと大きい音で。