モールス


※「ぼくのエリ 200歳の少女」のネタバレあり




吸血鬼娘が実は去勢された男の子でしたという設定は「モールス」では無くなっていて
代わりに女の子っぽさや、人間味が割と強調されていたと思う
吸血鬼としての活動も中身は普通の女の子が吸血鬼としての業に囚われている感を押し出していた
「私、女の子じゃないけどいい?」っていう台詞もあったけど、この映画の中で「女の子」というワードがどういう意味合いで使われているのかを照らし合わせれば、まあアビーが元男の子ではない事と矛盾はしないかな…(やや苦しい気はするけど)
(まあ、クロエ・モレッツが男の子だって納得しろって言われても厳しいものがあるしなー)
だから、「モールス」「ぼくのエリ」にあった男の子がインモラルながらも、もうそれが恋なのか何なのか分からなくてもどうしようもなく惹かれてしまうようなニュアンスは弱くなっている。
代わりに割と普通なラブストーリーが添えられている印象。
俺は「ぼくのエリ」に対してとっかかりが見つけられなかったクチなので、こちらの「モールス」の方がやや好き。

舞台が「善なる地」アメリカである事を強調したり、主人公のお母さんがキリスト教を熱心にやっている設定。
「善なる地」である事はおためごかしであり、悪い奴らはウヨウヨいて、父(神のメタファーととれなくもない?)は頼りにならない。
主人公は悪魔的な業を抱えている少女に救われ二人でそこから旅立つ…だって、そうするしかないじゃないか!
っていう宗教的なモチーフを絡めた構図は結構面白く感じた。
個人的に「ぼくのエリ」ではいじめっ子の極悪っぷりがやや呑み込みづらかったのでその点に関しては「モールス」に一票あげたい。



意外と本作でガッカリしたのはアメリカ産って事で期待していたホラー部分だったりする
病院のシーンにおける特殊メイクに顕著だと思うのだけれど、明らかに「ぼくのエリ」の方が怖い部分は多い
いや、ラストの首バッシャーンとかヴァージニアさんが血を吸いたいがあまり自分の腕をかじってるとかショッキングな描写は多かったんだけどね…
まあ、「モールス」は話をある程度知ってる上で見たからっていうのもあるのかなあ。


吸血鬼娘の共犯者的存在であるおじさん。
アイツが行う殺人の手口が「ぼくのエリ」より更にずさんになっていたのは個人的に面白かった。
事故のところも良かったしね



おそらく公平にみたらあらゆる面で「ぼくのエリ」の方が優れた映画なんだろうけど
個人的には「モールス」の方がいくらか好きかもしれない