指輪をはめたい

指輪をはめたい [DVD]

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※ネタバレあり

俺はあんまり好きじゃないなー。
どうも冗長という印象が拭えず…。
冒頭のスケートリンクの描き方で比較的早くこのお話の行く先が読めてしまう。
最初から二階堂ふみの役は実在感なく描かれていて、「まあ、主人公の理想の象徴か何かなんだろうな」と思ってしまって、しかも、それはさほど間違ってないし…。


これが何より良くないな、と思うのが冒頭で山田孝之演じる主人公がスケートリンクにモノ投げてそこにいる全員が気絶するっていう現実では絶対しない行動をするんだよね。
もうこの時点でそこにいる二階堂ふみが実在の人物じゃねえなと思っちゃうじゃないですか。


で、全体的に非現実的、主観的内面的な描写は多くて、そのせいか、似た話である「婚前特急」には感じなかった「指輪を誰に渡すかって…はぁ〜…自分本位な話ですねえ…」と好感を持つ事ができなかった。


婚前特急」と比べると主人公が3股かけている事に対して女性達からはっきり罰せれる場面があったり、その辺に関して言うと気を遣っているな、とも思った。

ただ、「婚前特急」では感じなかった疑問が首をもたげてきたのも確か。
二階堂ふみの役を巡る「真相」、あれ要らなくないかな?
少なくとも俺には、「あんたといてもつまんない」って理由で自分をフッた元カノのために勝手に指輪まで買う心情が俺には理解しかねるし、元カノへの当てつけのために女を3人もコマしておいてまんざらでもなかった(ここがクライマックス)って…。
どうも俺にはピントがズレた話に見えたよ。
本作の主人公は「(500)日のサマー」を観るべきだ!
そしてどうしても二階堂ふみの「真相」を入れたいなら、最後の台詞は「ありがとう」ではなく「ファ×ク!おとといきやがれ!」であるべきだ!
良いんですよ!別れる原因はあっちにあったんだから恨み言の一つぐらい言ったって!


さっき、主人公が3股かけている事に対して彼女たちから罰される場面があって良い、って言ったけど、二階堂ふみの「真相」丸ごと削って(主人公の脳内にある良心の象徴とかにしておけばいい)、こここそをクライマックスに持ってくるべきじゃなかったか?


ただれた3股生活をしていた青年が、このままではいかんと彼女達の前で思いっ切り悪役として振る舞いフルボッコにされフラれる…こんな感じであるべきだと思った。


小西真奈美真木よう子の役がちょっと微笑むとかそんな甘ったるい演出絶対要らないと思う。
映画「モテキ」の「牛丼食ってニッコニコ」なんかよりは遥かにマシだけど。

一連のファンタジックな演出もその場面場面に至る話運びやお膳立てを放棄しているように見えてどうも俺にはダメだった。
役者はそれぞれ魅力的で正直ちょっと心動かされそうになる場面がないでもないが、あまり上等な代物とは言い難い。