ミッション:8ミニッツ

ミッション:8ミニッツ ブルーレイ+DVDセット

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公開時の「映画通ほどダマされる!」という触れ込みは的外れな気がする。
このコピーで観に行こうとする「映画通」とやらがどれだけいるのかはちと疑問だ。

しかし、通でなくても、一度でもフィクションに本気で心奪われた事のある人間なら、本作における終盤の展開は何か心の動かされるものがあるのではないだろうか。
例え実在のないフィクションであったとしても、そこにいる悪を憎み、そこにいるヒロインを愛し、そこに生きている人々の人生を案じてしまう。
そして、その思い入れがフィクションがフィクションである事も突き抜けさせる。
その瞬間を捉えたシーンで予想外に泣かされてしまった。
この作品の作り手がもつフィクションへの愛と理解は疑う余地はない!
フィクション最高!フィクションだろうが俺の中では永遠なんだ!

ただし、ラストのタイムパラドックスはそれはそれとして興味深いのだけれど、やや上記の感動を削いでしまっていて、そこは残念だった。
あと、ある人物が主人公を身を挺してまで助けようとする場面は主人公の目線で見ればそれなりに理解できるようになっているが唐突な感じは否めない。

総合して少し至らぬ部分のある映画だと思うが、他の小手先の小賢しい映画に比べると遥かに誠意を感じるし、この監督のキャリアは追っかけてみたいな、という気になった。
ダンカン・ジョーンズ、これでまだ二作目とは恐ろしい!