ファミリー・ツリー

やはりアレクサンダー・ペインはさすがだなあ。

サイドウェイ」でのフルチンダッシュや「ハイスクール白書」の変顔ストップモーションなどのブラックなユーモアは本作では大分抑制されていて、そういうのが苦手って人にはかなりオススメしやすい作品になっていると思う。

人厄介で迷惑な登場人物(自分含め)に対して時には顔をしかめたり、怒ったりしながらも一貫して愛情持って描く手つきは本作でも共通している。
ラストシーンの絶妙な「照れ」のバランスには本当に感心した。
大体「家族」をテーマに描いた映画って個々人のエゴみたいなものを逸らしたり、そのせいで地に足のついてない観念的な感じになったりしがちな気がする。(最近観た中だと「奇跡」がそうかなー。ディティールは凝ってるのに何かウソくさく見えたりして…)
そんな中で「最も身近な他人」である所の家族にしっかりと向き合った稀有な作品。
ラストの「さようなら、私の妻。私の友。私の苦痛。私の喜び」には涙腺決壊ですよ。ヒネた俺を泣かせたんだから大したもんだ。

この映画、邦題も結構良いなと思った。
本作を観てると家族以上にもっとレンジの広い「縁」について思いを馳せるようになっていて、原題よりも本作の描く縁を端的に表しているようで秀逸な邦題だと思う。

正直、睡眠不足でやや集中力を欠いた状態で観たので全てを十全に楽しみ尽くせた気はあまりしてない。
だから、もう一回観たいなあ。