リング

リング (Blu-ray)

リング (Blu-ray)

あからさまに説明的な台詞やちょっと強引な話運び(実は超能力者で…って所)など怖さを減じている点はあるが、なるほどこれがJホラーの歴史を更新したんだなあ、と感心する所は多いです。

「呪いのビデオ」っていう仕掛けが相当に上手いと思いました。
基本的にビデオを見るっていうのは一人もしくは少人数でしかできないパーソナルな体験で、それが恐怖をかきたてるし、それゆえに起こす行動が本作のラストにある脚本のヒネリと一致しているっていう…。お見事!
ラストなんか松島奈々子が骸骨抱きしめる絵が良いものだからコロッとはまっちゃったよ。
先述の通り完璧に洗練されてるってわけじゃないけど脚本に光る所は結構ある。

あと、もう何度も色々な所でパロディにされちゃってる貞子がTVから出てくる所も怖い!もう本当怖い!
「観る者」と「観られる者」っていう僕たちをある種安全圏に置いている構造を破壊しやがるんですよ!
だからショッキングだし、本当に夜中に一人でトイレ行けなくなる!

貞子というキャラクターについても大変興味深かった。
バイオレンス描写で一番怖いのが傷だったり死体だったりするように、貞子もまた人間の業による被害者なんだよね。彼女自身多分悪い事は何にもしてないが、その怒りや怨念に共感や説得力が宿ってしまう分より怖くなる。
(バックボーンを一切描かないタイプの怪異もあるだろうけど…)

ただ、やっぱりこの貞子に関しては散々パロディのネタにされたり(「君に届け」とか)、おそらく続編等でその出生や人となりも明かされて恐怖の象徴としては解体されちゃってる気はする。
おまけにブラウン管TVが薄型液晶になったり、YouTubeニコニコ動画が出てきて、僕たちが映像を観る事に対する認識が少し変化して、そのパーソナル性が薄まっている分、やや怖さが減っているのかもしれない。


うーん、そこらへんを考えると、貞子3D…厳しくないかなあ。