2012年の映画ベスト10
今年は上位陣はどれも甲乙つけ難く素晴らしいのでランキングは実質順不同のようなものです。
『みんなちがって、みんないい』状態なのです、今年は。
10位『ファミリーツリー』
今年はアレクサンダー・ペインという才能に今更ながら出会えたのが大きな収穫。『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』や『サイドウェイ』もそれぞれちょっとどうかと思うくらい面白かった。こうしたほのかな前向きさを描ける作家は強い。
9位『苦役列車』
明らかに自分のような人間のために作られた映画で、その狙いすましたような感に今となっては若干の抵抗を感じなくもないのだけれども、結局まんまと引き込まれ泣かされた。作り手は明らかに意識してるだろうが、『モテキ』はこうあるべきだった。
こうした屈折した人間の追い込まれた人生をこそ映画は描くべきなんだと思った。
8位『預言者』
ジャック・オディアール恐るべし!時に丹念に、時に超現実的に刑務所内の男の成り上がりと成長を描ききった!
よし!刑務所で頑張れば俺もこの映画の主人公のように一皮むけるのかも…!いや、ダメだ!刑務所に入ったらこういう傑作に出会えなくなる!犯罪はダメだ!地道に頑張ろう!
7位『おおかみこどもの雨と雪』
根深い反発が多いのも分かるし、批判のいくつかは頷ける。ぼく自身批判的に検証しようとした感想も書いたものの、やはり本作が好きであるという思いは揺らがず。非常に豊潤な「生と性」の物語だと思う。傑作。
6位『高地戦』
作り手の気合に圧倒される。ぼくはネタバレである所の予告編を事前に何回も観ていて(だから鑑賞に駆けつけたわけだが)終盤の展開をあらかじめ知っていたのだけれども、本編を見ている最中は映画に引き込まれその事は忘れていたので全く気にならなかった。韓国映画界おそるべし。
5位『悪の教典』
「伊藤英明がサイコパスの殺人鬼」という一発ネタに甘んじる事なく、恐ろしく、それでいてどこか痛快な、夢(悪夢)のような映画を作り上げた手腕に感服した。しかし、悩みがなく他者どころか自分すらも愛してない人間というのは恐ろしいものですな。
4位『Jエドガー』
単純に鑑賞中流した涙の量で言えばナンバーワン。映画はこういう人間の人生を見つめてこそのものだと深く確信した一本。良いラブストーリーだった。
3位『ドライヴ』
忘れがたいショッキングなバイオレンス描写と陶酔を誘う美しさの映画。見事と言う他ない。ナルシズムと批判されようが構わない。今年はずっとこの映画のサントラを聞いてた。
2位『スカイフォール』
完璧な映画
『まあ、皆さん褒めてらっしゃいますし、良いんでしょうね』程度の期待で鑑賞したのだけれども、それを遥かに上回る大傑作だった。とにかくとにかく超カッコ良い。全編に渡って陶酔しながら観た。自分の中では一つの金字塔。
1位『裏切りのサーカス』
初見&原作未読状態では話が完全にクリアには掴めず、そこが歯がゆかった。しかし、肝心なエモーションはビシビシ伝わるし、その欠点を補って余りある美しさ、そして孤独たたえた凄い映画。今思えばアルフレッドソンには『ぼくのエリ』の時点で土下座するべきだった。
ラストにおけるマーク・ストロングの表情だけでも価千金の大傑作だと思う。
1位.『裏切りのサーカス』(トーマス・アルフレッドソン)
2位.『007 スカイフォール』(サム・メンデス)
3位.『ドライヴ』(ニコラス・ウィンディング・レフン)
4位.『Jエドガー』(クリント・イーストウッド)
5位.『悪の教典』(三池崇史)
6位.『高地戦』(チャン・フン)
7位.『おおかみこどもの雨と雪』(細田守)
8位.『預言者』(ジャック・オーディアール)
9位.『苦役列車』(山下敦弘)
10位.『ファミリーツリー』(アレクサンダー・ペイン)