2012年の映画ワースト10

※汚い言葉が並びます

今年は特に酷い映画にあたっていないため、単純な出来より「こんなに期待してたのに…」というやや一方的な思いが大きい。よって、ワーストに好きな人も多い映画がどうしても食い込んできてしまうのが心苦しいあたり。


1位『ヘルタースケルター

勢いあまって『へたくそ』の四文字で感想を済ませてしまった映画。
原作漫画が苦手でその違和感の出所を探る意味でもいいかもな、と思っていたが全くそれ以前の問題だった。
あまりの退屈さに悟りの境地に達し「目を閉じる」という鑑賞法を編み出す事ができたのがせめてもの収穫だろうか。(結局目は開けてたけどね)

自分が言うのもなんだが、この映画の監督さんってあまり映画を観ない人なんだろうか?
演技は野放し、編集はガサツ、音楽の使い方は単調。
絵のセンスの無さ、思慮の浅さは今年カッコ良い映画に多く出会えただけに余計に際立って見える。今の話をしてるのにあの"一般女性たち"の描き方はいくらなんでも無いと思うぜ。

話も不要と思われるシーンが思いつきのまま並べ立てられるだけ。
独りよがりで動機を欠いた「おゲイジュツ」というものが、どれだけ人を苛立たせるかがよーく分かった。
この作品に付き合わされた、キャスト、特に沢尻エリカ寺島しのぶ大森南朋の三人(それぞれ良い役者だと思います)が可哀想だ。

公開当時確か賛否両論のような評価の割れ方をしていたと思うが、自分にはなぜこの作品が(あえてこの言い方をするが)許されているのかサッパリ理解できない。
別にどうするというわけではないが、個人的に本作を褒めていた識者の名前はしーっかり記憶しておかないとな、と思う。

世界にはどうしても分かり合えない事もあるのだと作り手の意図せざる所で気付かせてくれる一本。紛うことなきクソ映画でした。

2位『RIVER』
ウンチ。
本作も『ヘルタースケルター』と同様気が遠くなるほど退屈な映画で90分もないのに悠久の時のように感じられるのだが、まあ、『ヘルタースケルター』よりは短いしね…という事で2位。

ビックリする程底の浅い事しか描かれておらず、「下手な映画だなあ」ぐらいに思っていたが、ラストにとってつけたように被災地をフラフラするシーンで全く笑えない映画になった。

震災を取り入れたり、題材にした映画はいくつか作られたが、自分が観た中ではその扱いにおいてさえ突出したヒドさがあると思う。

この映画の監督さんが僕の好きな宮崎あおい向井理で映画を撮るらしいのですが、今から不安で仕方がないです。

ちなみに、『ヘルタースケルター』と『RIVER』は僕のワースト作では別格です。他のものとはケタが2つ、3つ違う。

3位『愛と誠』
この映画を愛する人はすみません。
仮にも傑作『愛と誠』の映画化だろうに、いくらなんでも音楽と脚本が適当過ぎる。
『笑われるのではなく、笑わせる』だなんていう引け腰で『愛と誠』の映画化なんてできるわけがないだろう。一個も笑えなかったよ。
公開前に原作に大感動しただけに本当に観た時の落胆は大きかった。
だって、もう当分はこの原作が映画化される事はないんですよ…。はあ…。

4位『ヒミズ
この映画を愛する人はすみません。
『あ、オレ、園子温苦手なのかも…』という気づきのきっかけになった一作。
ああいう現実がそこらへんに転がっているからといって、そこをすくい上げる事で、ひとまずの平穏にいる人達を揶揄したり否定したりするのは自分の立場からすると頷けるものではないし、それは青臭い事だと思った。
汚くすれば、泥に塗れさせれば現実らしくもっともらしいと思ってそうなのも何か嫌だった。
作り手本人が真剣に作っているのを疑うわけではないが、本作における誇張のオーバーさに俺にはおおよそ誠実さというものは感じられなかった。
冷たい熱帯魚』は実際にそういう現実があるぞ!という事に対してエンターテイメント的な誇張なんだな、という距離の取り方ができていて、実際そういうバランスで作られていたから面白かったのだけれども…。


5位『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
この映画を愛する人はすみません。
本作には正直呆れたのだけれども、一応TVシリーズと旧劇場版と新劇場版と予習してしまったので一応次作も見ますよ…見ますとも…。

観たあと、しばらくはあんな適当な映画が特権的に許されている庵野監督に馴れ合えるようなソフトさ抜きの憎悪を感じていたけど、安野モヨコ先生の『監督不行届』を読んで大分それは和らいだ。

6位『鍵泥棒のメソッド
この映画を愛する人はすみません。
終盤のちゃぶ台返しは上手さでも何でもない、ただ単にお話上のしんどい所から逃げただけだ。
なので、そこ以降はサスペンスとしてもラブコメとしても作り手への信頼が置けなくなってしまった。何が「キューンキューン」だよ、○ね。

7位『るろうに剣心
この映画を愛する人はすみません。
武井咲が突然正気を失って猫を可愛がり出すシーンなど良いポイントはいくらかあるのだけれども、アクションシーンの編集がいくらなんでも見辛過ぎます。
アクション自体は佐藤健や谷垣アクション監督がガッツを持って見応えのあるものを作り上げたはずなのに編集が足を引っ張ってどうするよ…。

8位『メリダとおそろしの森
…またいつかピクサーの作品に土下座するような日が来る事を信じたい…。
頼むぞ…「モンスターズユニバーシティ」…。

9位『先生を流産させる会』
この映画を愛する人はすみません。
現状、僕はこの映画に対してあまり肯定的な評価はできない。
苦慮されたのだろうけど、あのラストはどうしても首をかしげてしまうな。

10位 『ダークナイトライジング』
この映画を愛する人はすみません。
一般大衆等ディティールの描き込み不足、終盤のガッカリ展開等、ダメな部類に入る映画だと思うが、変に上がりすぎてしまったハードルみたいなものもあるし、もう一回見返すときがあれば「それはそういうもの」として見られる時がくるかな…いや、来ないかな…。