塔の上のラプンツェル(3D字幕)





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監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ

ストーリー:深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなり……。



「トゥルーグリット」を見に行こうとしたが

映画館へ向かうバスが渋滞に巻き込まれ間に合わず

やむなく予定を変更して鑑賞



トゥルーグリットを観られなかった事の残念感を消し飛ばすぐらいのグレイトな映画に仕上がっていたと思います。

この映画全体から発せられるテーマを考えると

今のディズニーの中の人達が

「ディズニークラシックスを引き受け、これから語り継いで行くぞ!

そして、俺達がディズニークラシックスネクストレベルへ進めるんだ!」

という志の高さが感じられて、主にそこに感動させられましたね



僕がこの映画で泣かされた所が4つあって

ちょっと以下に感想を書いてみます



1.ラプンツェルが初めて塔から降りる所

前にマザー・ゴーテルが明かりを消していく、ラプンツェルにあなたは非力だと諭すミュージカルシーンがあるが故に

ここの感動が引き立っているように思います

加えて、こちらにまで伝わってくる土の柔らかさや草の感触、水の心地良い冷たさの演出、アーンド一聴しただけで「あ、ディズニーだ」と分かる音楽の盛り上げ!

正直、僕の脳内では感動してるつもりは無かったんですが目からポロポロと汁がね…

こういうのを力業っていうんだと思います。素晴らしいシーンでした。



2.ラプンツェルとフリンが灯りを観るシーン

おそらくこの映画の白眉

ここは本当に素晴らしい

あんまり「泣いた」って言うのは感想として良くないと思います

「だったら鼻毛でも抜いてろや」と思ったりもしますよ?

でも、泣かされたものはしょうがない

泣きましたよ!

ゴチャゴチャ書こうと思ったけど言語化できるようでできないや




あ、一つだけ書いておくとここの盛り上がるシーンでパスカルが頬っていうか体を赤らめる演出や

ラプンツェルが初めて塔から降りる所の直後にコミカルで笑えるシーンを間髪入れずに挟む所

フリンと馬、否、マキシマスさんとのお城でのやり取りなど

過剰にセンチメンタルにさせないあたりも感心する所

ディズニークラシックスには久しく触れてないので、ちょっと分からないがフリンのキャラ含めここらへんが現代的にディズニーのプリンセスストーリーをアップデートした部分なのかな…?


3.ネタバレになるので…

何ていうか「魔法なんて要らへんのや!」というシーン

アイツに救われたアイツが、アイツの言ってみれば「過去を留保する」力を断ち切る恩返しの展開で本当に感動的でした。

かつてあったディズニーの良さにすがるのでなく、ディズニークラッシクスというものを引き受け自らの手でアップデートする

そういう作り手達の熱意も伝わってきてテーマ的にも号泣

しょ、正直そういう展開になるとは思ってたけどね!

ラスト、あいつが蘇生するあたりも話として甘いのかもしれませんが

子供向けの映画でそのまま行っちゃうとビター過ぎる展開だし

いいじゃないですか!映画なんだし、そのぐらいの願いは叶えてやっても!

アニメ版時かけの最後のタイムリープですよ!!


4.ラストのちょっとした演出

ボカして書くけど、ある人がフリンに手を差し伸べるあたり

ちょっとした演出が、ちょっとした台詞にハマっていて

そういう細かな所で不意打ちをくらって泣かされました

さすがにここで泣くのは自分だけかな…w



とは言え、正直完成度、粗の無さで言えば完璧とは言いがたいと思います

あんまり、僕がこの映画に否定的なスタンスをとっていると誤解されるのも嫌なので読み飛ばしてもらっても結構なんですが…



まず、ラプンツェルの育ての親であり、本作最大の悪役であるマザー・ゴーテル、

彼女の描き方に厚みが感じられません。

序盤を見ると彼女がラプンツェルを自分のために利用してるのもハッキリと分かるんですけど、

一応は「塔からは一歩も出さない」という事を除けば暖かな母娘の関係の描写、

加えて、18年間ラプンツェルを育て上げたのであろうという設定がちょっとキャラをややこしくしてると思います。

要するに、「18年も擬似親子続けていれば多少情も宿ってるんじゃないの?」と思うわけです

実際ラプンツェルは性格的にほとんど歪んでいないわけだし、虐待もされていないんだと思います

なんか上手い見せ方はなかったのかなあ…と思ったりしました



それ故ラストの展開はちょっと酷薄さを感じたりもしました

いや、テーマ的に過去にすがり続けたマザー・ゴーデルはああいう突き放し方をしなきゃいけなかったんでしょうがね。

鏡の演出も見事だったと思います

パスカルが足をひっかける所もちょっと「余計な事を…」感があったり



あと、酒場の連中の若干のご都合主義感ですよね

アイツら、あっさり味方になり過ぎでしょ!

最後の方に彼らがアイツをアレしに城にアレするくだりも

まず、マキシマスがどうやって酒場の連中にそれを伝えたのか分からない上に

城に乗り込む程の間柄じゃないでしょ?



このように、メイン所でないサブキャラクター周りの描き方や展開に若干のつめの甘さが残る感じです


しかし、それらの悪い点を帳消しにできるほどの泣かせポイント

全体的にコミカルで楽しいアクション、ギャグ!

(髪を使ったアクション!良かったですね〜!)

これだけあれば文句なしです

「ここからのディズニーアニメは一味違う」

と思わせるには充分過ぎる作品でした。