リンダリンダリンダ





リンダリンダリンダ [DVD]

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監督:山下敦弘

ストーリー:とある地方都市にある芝崎高校。文化祭・ひいらぎ祭の前日に、恵(香椎由宇)、響子(前田亜季)、望(関根史織)の3人は途方に暮れていた。高校生活最後の文化祭のためにオリジナル曲を作って練習を重ねてきたのに、ギターの萌が指を骨折してしまったのだ。


余震にウンザリして「あー、女子高生が文化祭でバンド演奏するのを追体験してえなー」と再見。

やっぱり最高だった。

ライブっていう不可避的に盛り上げが物語上要請されるものがある分、同じ山下監督の作品である「天然コケッコー」よりもこちらの方がとっつき易いかもしれない。


・「わざとらしさ」の排除

この映画、他の文化部青春モノ(?)と異なり非日常感、センチメンタルな起伏は基本抑制されている

むしろ、会話の中での微妙なすれ違い、気まずい「間」などを積極的に表現する事で映画の中の世界が自分たちの生きる現実と何ら変わらないものである事を示し続ける。

この「わざとらしさ」の排除は諸刃の剣でややもすれば退屈になったりするようなものだが、「わざとらしさ」を排除する事によって作品全体が訴える者が染みたり、今作のように盛り上がりがあれば、それに圧倒的な説得力が出てくる。

ちなみに「キャラ」とか「表現」とか「作品」とか、自分で書いててムズムズする感じ、作中のキャラが現実に存在するとしか思えない感じが山下監督作品のカラーの一つっぽいですね。


・ライブを盛り上げるための準備

ただでさえわざとらしい盛り上げを嫌う山下監督の事だから、細心の注意を払って最後のライブまでどうつなげていくか、脚本を練りに練ったに違いない。

元々のバンドメンバーが指を骨折して出られなくなったために、バンド内で楽器がコンバート。加えてバンド内のいざこざでボーカルは日本語が苦手な上に歌唱力もちょっとアレな韓国人留学生(俺達のペ・ドゥナ先生)に。本番まであと3日!

こんなバンドが文化祭で盛り上がるライブなどできるわけがない、強引にやったらそれはキャラを無闇に特別扱いすることになり観客はしらけてしまう。

(ちなみに強引にやっちゃってるのが「BECK(実写)」や「けいおん!」だと思う)

しかし、「女子高生バンドがブルーハーツをやります!」と打ち出している企画である以上観客にサービスしなければいけない…

そこで、この映画は


・雨が降って仕方がなく体育館に人が集まる

・徹夜で練習したため、ライブに遅刻。空いた時間をウマい人たちが代わりに演奏し、観客を温めておく

・ライブ最中も盛り上がってはいるが後ろのほうで座って見ている人も多数いる(リアルな描写)

等々、丁寧にライブが盛り上がるプロセスを描く

また、その過程でバンドメンバーが内なる熱さを外に出すようになっていく過程や韓国人留学生のソンさんもまた内なる熱さを表に出し、本当の意味で文化祭に参加する過程も描かれる。

そのためラストの感動に圧倒的な説得力が出る

本当に見事なものだと思います



・音楽

具体的にどこがどうとは言えないけど、山下作品の音楽の使い方はかなり好き。

劇伴も観客の感情の流れに沿って見事なものだと思うし

最後は大体バンドの曲が流れるのだけれど、作品のテーマとがっちりハマっていて、ブルーハーツの「終わらない歌」も大好きになっちゃうんだよね。



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その他、初めて演奏した時の小っ恥ずかしさの表現とか(けいおん!にはこれがない気がする)その他、愛すべき描写が満載なので、僕はやっぱりこれ頻繁に見返したくなる映画になってます。