マイマイ新子と千年の魔法



今にこそ見られるべきアニメーションだと思った。
となりのトトロ」などであった面白異形は出てこないし、台詞が所々説明的で、序盤は結構話運びがぎこちない気もした。
そういう意味で娯楽映画としてのフックには欠けると思う。
だが、それらを度外視しても、(もしかしたら度外視したからこそ、かもしれない)素晴らしいものが描き出されていたと思う。
それほど捉えやすい作品ではなく、正直、自分とこの作品の出会うタイミングが良くなかったのも手伝って、この映画が描こうとしたものを咀嚼して言葉にしきれないのが残念だが、まず観て損の無い佳作である事は間違いない。
それほど刺さっていない自分でさえ、この映画を観て外に出た時は日常の景色が少し違って見えた。
きっと、小学2年生ぐらいまで小学校の校舎をゲームのダンジョンにあてはめてニヤニヤしていた頃のイマジネーションを取り戻せたのかもしれない。

先述の通り娯楽映画としてフックに欠けたりして、いわゆる「完成度の高い作品」ではないと思う。
それゆえ誰でも100パーセント刺さる作品だとは思わない(自分は多分60パーセントぐらい…?)。
だが、観たら必ず観客の心に(大小あるが)何かを残すであろう作品なのは間違いない。


年に一回は観たい映画。
この映画が描いた事を俺は実人生の上で長らく忘れていたし、これから忘れちゃいけないような気がするんです。


※この映画の監督である片渕須直さんの作った「ブラックラグーン」はかなり好きなアニメでした。
特に「双子編」の何とも言えん余韻ね…。