ジョゼと虎と魚たち


ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]

ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]


くるりの音楽とか、池脇千鶴の殺人的かわいさとか、細部まで行き届いた繊細な作りこみには感心してたんだけど、ラストでガッカリさせられた映画。
人と人との隔たりを安易に誤魔化さず描く事自体は結構なんだけどそこの描写が不足していて腰が引けている気がした。主人公がジョゼから離れる際の心情描写も僕が見た限りでは車内でそっけない返事をする場面と、「色々あって…僕が逃げたという事だ」というモノローグぐらいだった。
その「色々」を描くべきだったんじゃないのか…、と思う。人と人の隔たりを超えようとした結果超えられなかった、という話なのだから主人公がジョゼから離れていく心の動きを観客に罪悪感を突きつけつつ描くべきだったはずだと思うのですよ…。
最後にジョゼが車椅子に乗って一人で気丈に暮らすシーンが暖かなトーンで描かれているのだけれども、そこも何だかなあという感じがした。
どうも「こうあって欲しい」「人との触れ合いを避けずに生きるのはいい事だ」みたいな押し付けをどうも感じてしまう。
大体、徹頭徹尾主人公の目線で描いておいて、てめえは逃げたくせに「彼女はその後少しだけ成長しました」なんてムシが良すぎだし手前勝手すぎやしねえか?