「奇跡」



子供たちは可愛らしく描かれているし、細かにディティールに含まれた含意が絡み合って完成度の高い作品に仕上がっていると思います。
笑わせてくれる所もたくさんあるしね。


ただ、最近、完成度が高ければ刺さるってモノでもないんだなっていう認識があって、それが丁度この作品に当てはまる感じかな…。
自分自身子どものリアリティというものが分からなくなってるせいか知らないけど、家族で暮らす事に対してお兄ちゃんがそれほど飢えているように見えなかったんだよなあ…。
まあ、家では子どもの目の前で大人の事情な話が展開されてるわ、火山灰は積もるわで嫌な感じ、っていうのは分かるんだけどね…。
で、もってラストは上手く描かれているんだけど、ちょっと反発を感じた。
子供って純粋であるが故に残酷なものだと俺は考えているし、何よりワガママな事をしたりするのは子供の特権だぜ…?
大人の諦観を子供に体現させるべきなのかなあ…。
いや、それが成長する事だって言う話も分かるんだけどね。
少なくとも俺があの子らぐらいの事はゲームの事以外考えてなかったよ。
あとはまあ長澤まさみの出番が少ないとか…

新幹線開通から始められた企画ありきの映画として見るならちゃんと是枝監督の作家性も盛り込まれた完成度の高い作品だと思います。
前作の「空気人形」、オレはちょっとノレなかった映画だったのだけれど、あの中でも他者同士を安易にくっつける事はしなかったね。そこらへんに是枝監督の作家性があるのかなあ…。
「空気人形」よりはよっぽどノレた映画だけど、この映画とはあまり良い出会いはできなかったなあ…。