猿の惑星 創世記

・ちょっと食い足りない部分。巷で噂の「NO!」に次いでアガる所として、シーザーがウイルス(猿に知性を強化する薬)を盗んでバラまく所があるんだけど、そこの前からシーザーと他の猿とのやりとりが分かりやすく(=人間的に)描かれているのがカタルシスを減じている気がした。その後ではっきりとお猿さん達が知性という武器を手に入れた事が分かる描写はあるし、「そこは動物同士のやり取りだから」と言え無くもないけど、やっぱりやり取りが過度に人間的過ぎるんだよなあ。もうちょい差が際立てて描かれていれば…、と思ったけどそうすると今度は元ボス猿やゴリラのキャラが立てにくくなるし、何より分かりにくくて映画として成立しないんだろうなあ。だから、あの描き方が最適解だとは思うんだけどねー。

・ラストの革命の中でほとんど人死が出てるように見えないのも、興行上の理由がある事がわかりつつもちと食い足りない。「え〜、せっかくの革命なんだから人死見せてよ〜」と思ってしまうのは多分自分がシーザーより野蛮で低劣な生き物だからでしょう。

・上記二点以外はほぼ文句ないです。「ノォオォオオォゥ!」の所も最高にアガッたし、お猿さんの微細な感情の機微を表現する演技が本当に素晴らしい。かなり丁寧に作られた「大作」の名に恥じないエンターテイメント。

・メッセージ的な部分について、俺達人間の畏れるものなしな行き過ぎた欲望に対して「人間たちもまたアニマルなのだから、ゴーマンかましてないで、そこらへん少し謙虚でいましょうね」とするのは正しいと思う。同時に欲望が突っ走ったからこそ今の文明がある事も留意しておきたいけど。