イヴの時間 劇場版

「イヴの時間 劇場版」 [Blu-ray]

「イヴの時間 劇場版」 [Blu-ray]

あらすじ
「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」--作中より
高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。友人のマサキを誘って記録された場所に向かってみると、そこには「イヴの時間」という不思議な喫茶店があった。
そこに集う様々な人間やアンドロイド達との関わりの中で、それぞれが少しずつ影響を及ぼしあい、変わっていく。やがてそれは、外の世界へもかすかな、しかし確実に波紋を広げることとなる。

来年「サカサマのパテマ」というアニメ映画が公開されるらしく、同監督の前作である「イヴの時間」を見た。

正直ちょっと苦手な部分の多いアニメだった。
本作がどの程度面白いかで「サカサマのパテマ」を観に行くかどうか考えたんだけど、DVD待ちになるかな…。


モノだと思っていたアンドロイドが人間的感情を実は持っていて…という話なのだけれど、いかんせん、揃いも揃ってアンドロイド及びロボット達が良い人(?)過ぎる。
ここは本当に引っかかった。
少なくとも「イヴの時間」の外ではアンドロイド達は「モノ」としてユーザーによってはぞんざいに扱われている(鞄を雑に預ける描写はさりげなく、かつ暴力的で良かった)んだから、それらに対する反発を全く抱かないっておかしくないか?


作り手が自分の中にある、優しいと言えば聞こえはいいかもしれないが、要するに当たり障りのない部分だけをキャラクターに投影して、人間的なものを描いた気になってるような姿勢にそれこそ俺は反発を感じるし、申し訳ないがお話全体がどうでも良く見えてしまった。

設定レベルで作品のメインに据えられるのは「アンドロイド」である必要は一体どこにあったのか…
強いてこの作品で僕が心を動かされたのはアンドロイドでない、ロボットの描写でここのアニメーション、演出は素晴らしいと思った。
だから、最初からアンドロイドでなく、ロボットとの交流がメインの話、世界観だったらもうちょっと乗れたかな…と思います。
見た目が人間と全く同じアンドロイドが「モノ」として扱われてたり、倫理委員会なる組織から色々言われたりしてる部分が最初っから非人道的に見える(「アンドロイドが実用化されて間もない社会」って最初のテロップでは出てたような…)し、これを作品内で対立させる「良くない考え方」とするにはいくらなんでも弱いじゃないですか。
元より感情移入しやすく作られている(ブルーレイのジャケットにもなってるサミィさんとか必要以上にグラマーだしね!)ものに感情移入したら、それが非難されてるって何かなあ…。

僕の個人的な考えだけど、ああいうコーヒー入れたり雑事をしてくれるロボットの見た目を人間に似せる必要って一体どこにあるんでしょうか…?

まとめると、CGの使い方やテックスというロボットの描写等ハッとさせられる部分は多いものの話に結論ありきな感(ポジティブに言うなら安定感ともいえるかも)を強く感じてしまって全体としてはあまりノレない作品でした。