人狼 JIN-ROH

EMOTION the Best 人狼 JIN-ROH [DVD]

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ハッとさせられる描写も多いものの、脚本が大きく足を引っ張ってる気がする。
ラスト、生きるか死ぬかの瀬戸際にいるはず少女の台詞はどうも状況に酔っ払って陶酔していなければ出てこない台詞に聞こえたし、本作のお話全体が「赤ずきん」に重なる事を示唆する演出が多いしクドい。
あの鎧の目の部分が赤くギラリと光るとか、クライマックスが満月の夜に展開されるとか、その程度に留めておけば読む楽しみも保たれて良かったんじゃないかと思う。

あと、「本当に主人公は狼だったのか?」という疑問も付きまとう。
お話上ラストは主人公は自らの手によって少女を殺すべきだったと思うのだけれど…。
(少女が死ぬ事によって彼の人間性も死ぬ、っていうラストなわけでしょ?)
あ、いや、まあ、色々なゴタクは付くのでしょうが、最後のショットがばっちり決まっているだけに上記の台詞と相まって非常に面白くなかったよ。

ここは俺が何か見落としているのかもしれないけど、描写の整合性も気になった。
訓練では人を撃てなかった(内面描写もある)のに、ラストの下水道における躊躇なきジェノサイドっぷりは一体何なんだ?
(正直、アガったにはアガったけど…)
ラストの方で「もはや人も射撃訓練の的のようにしか見えない」って描写があれば納得度も違ってたんだろうけど、そんな描写、あったかなあ…。

文句は期待してた分多くなってしまうが、そのナルシズムも含めて好きな類の話であり、ハッとさせる演出や堅実な芝居もあって、冒頭の地下水道のテロリスト蜂の巣描写やデパートでの屋上のくだり等好きな部分も決して少なくはない。


けどなあ…好きなだけに欠けてる部分が気になるというか…ぶっちゃけ好感は持てないというか…なんかなあ…。