鍵泥棒のメソッド(ネタバレあり)

※ネタバレあり

つまらないって事はないんだけど好きではないな…。
途中まで面白かったのだけれど、香川照之の役に関するネタばらしでシラけてしまった。

「実は香川の役はターゲットを殺すフリをして逃がしていました」というのは確かにアッと驚くものだし、筋も通ってる。

ただ、前半は人を殺した罪をお話の倫理上償わなければならない香川と広末、この二人の恋に関してこのお話はどう落とし前をつけるのか、という事に興味を持ちながら観てたので、そこの前提を無かった事にされてもそんなに嬉しくはない。
そこで得られるのは一過性の面白さのみで、お話全体に対する信頼はガクッと落ちると思うんだよなあ。
ここのネタバラシ以降は、真面目に観る気が失せてしまい、最終的な着地も陳腐なものに見えてしまった。(最後のブザーもどうかと思った)

このお話において自分が期待していた脚本のウマさというのは、前提部分のハードルを下げたり無かった事にするのではなく、如何にしてそこを飛んで見せるのか、そこの手腕なんです。
その大切な部分においてこの映画とはすれ違ってしまった。

内田けんじ監督作はこれが初めてなんだけれども「運命じゃない人」は非常に面白いらしいので機会があったら見てみようと思う。