レオン

レオン 完全版 アドバンスト・コレクターズ・エディション [DVD]

レオン 完全版 アドバンスト・コレクターズ・エディション [DVD]

あらすじ:凄腕の寡黙な殺し屋と12歳の少女の純粋な愛を、スタイリッシュなアクション・シーンを交えて描いた一編。初長編「最後の戦い」以来、「サブウェイ」「グラン・ブルー」「ニキータ」「アトランティス」と、1作ごとに注目を集める現代フランス映画界の寵児、リュック・ベッソンが初めてアメリカを舞台に選び、ワールド・ワイドな展開を試みた(台詞は英語)。脚本・監督はベッソン、エグゼクティヴ・プロデューサーは実父のクロード・ベッソン。撮影は、監督とは「ニキータ」に続いて2作目となるティエリー・アルボガスト、音楽は「最後の戦い」から全作品に参加しているベッソンの盟友エリック・セラで、主題歌はスティング&ドミニク・ミラーの『The Shape of my Heart』。美術はダン・ウェイルが担当。主演は「最後の戦い」以来、ベッソン作品には欠かせぬ俳優であるジャン・レノと、オーディションで2000人を越える中から選ばれてデビューした、13歳のナタリー・ポートマン。「ドラキュラ(1992)」「トゥルー・ロマンス」「蜘蛛女」と出演作が相次ぐゲイリー・オールドマンが悪徳麻薬取締官に扮して怪演するほか、アカデミー助演男優賞候補の「ドゥ・ザ・ライト・シング」や「ジャック・ルビー」のダニー・アイエロが手堅い助演ぶりを見せる。後に22分長いディレクターズカット版が製作されている。


駄作だと思います。割と不快になる部分が多かった。昔観てぼんやりと面白かった記憶があるんだけどなあ…。


まず、お話上、暴力の影だったり、自らも暴力に手を染めている事に対する負い目が必ず付随するはずなんだけどそれらが極端に薄い。特に後者がないのは致命的。主人公の殺し屋に葛藤がほとんど見られないのが非常に残念。
自分の家族が皆殺しにされているのを察した少女が自分の家をスルーしてそのままレオンの部屋に入れてくれと請う所がある。ここは良いと思うんだけど、その後が最悪だ。レオンは自分が殺し屋である事を積極的に隠そうとしないし、ブタの鍋つかみでおどけて少女を励まそうとする、で、少女はそれ見て笑う。
その後のライクアヴァージンがどーだとか、ジョン・ウェインがどーだとかそこらへんのトーンもそうなんだけど、いくら何でも慎みや影がないというか、描写として無神経じゃないか?ブタの鍋つかみのシーンの後少女にレオンを誉めそやす台詞を吐かせるんだけど俺は端的に「キモッ」って思ったよ。


この映画は万事「レオンとマチルダの間に愛さえあればその他大勢はブッ殺してOKだぜ!ヒャッハー!」というトーンで進む。そりゃ相手も殺しに来てるんだからこっちも殺しますわな。けど、現場で流れる血や死体をもっと凄惨なものして見せるべきだと思うよ。そうしないと「クソみたいな世界に咲いた一輪の花」であるはずのレオンとマチルダの関係が活きないと思う。


(少なくともこのお話に関しては)省略するべきでなかった「影」の部分が非常に薄いだけでも大変つまらない映画だと思うんだけど、その割にレオンと少女の関係がやけにベタベタしてるのも本当に鬱陶しい。さっきのライク・ア・ヴァージンやら何やらのくだりや「愛してる」なんていうどストレートな台詞もそうだけど、ちょっと…ロリコンっぽいというか…いや、ロリコンがダメってわけじゃないんだけどさ…ほら…この映画のそれは俺には微笑ましく見られないというか…。仮に俺がロリコンだったとしても作り手によって記号のように歪められたこの少女は魅力的に見えるかなあ…とかあるよ、うん。


あと、鉢植えをしつこい程強調するねえ!とか、ゲイリーオールドマンのキレ悪役は弱そうであんまりハラハラしないな、等々色々言いたい事はあるんだけど、全体としての出来は全くダメっていう程悪いものではないと思う。グッと来る演出がないでもない。
でも、何だろう。
作品の出来以上に明らかに作り手が自分を追い詰めて作ってない感じや「センスが良いと思われたい」っていう気取りの自意識が本当に不快で不快でしょうがないです…。

一応名画として扱われている作品にも出来が良くなかったり、非常に不快だったりするモノもあるんだという事が学べたのでそこは良かった点かな…。